2019.10[3人目になるためには…]

私は、先日、子どもたちに紹介したい書籍を探すため、書店に立ち寄りました。そこで、知人に勧められたイソップ童話があったことを思い出し、「3人のレンガ積み職人」という本も探すことにしました。その本を手に取ると、幼き頃の自分と重なる点があると感じる物語で、吸い込まれるかのように自分の中に入っていきました。今回は、その物語を皆様にお伝えしようと思います。

世界中を旅している旅人が,汗を流してレンガを積んでいる3人の男に出会ったことから始まっています。
旅人は、3人の男に「ここでいったい何をしているのですか?」とたずねました。すると3人は、それぞれ答えました。
1人目の職人は、「見ればわかるだろう。レンガ積みをしているのさ。」
2人目の職人は、「ここで大きな壁を作っているんだ。大変だけど、賃金が良いからやっているんだ。」
3人目の職人は,目を輝かせてこう答えました。「歴史に残る、大聖堂の建築に貢献しているんだ。」
同じレンガを積むという作業でも、その向き合い方により、作業の意味が大きく変わることが分かります。1人目の職人は、自身の仕事に全く目的を持っていません。2人目の職人は、生活のためという目的は明確ですが、賃金以外の部分に価値を見出していません。一方で、3人目の職人は、見返りを求めるのではなく、大きな視野と「後世に残る立派な大聖堂を観てほしい」という、高い目的意識を持てていますね。
同じ作業でも、目標や使命感を持つことで、その取り組み姿勢に大きな違いが生まれることもわかります。
私には、一番目の職人と同じ様な経験がありました。それは、小学生のころ所属していた少年野球チームでのお話です。野球のルールも知らず、見るのも好きではなかった野球。ただ、クラス全員がやっていたからという、安易な考えで所属をさせられ、目的や目標もなくやっていた為、練習にも身が入らず、毎週の練習をこなすことしか考えていませんでした。結果六年生まで続けた野球で得た物は少なく、苦痛であった想いしか残りませんでした。自分の意志で始め、目標をもって取り組めた、中学の陸上や、高校・大学でのバレーボールで得たことのほうが、何倍も何十倍も大きいと感じました。
子どもたちが取り組む日々の勉強や学級活動等にも、同じことが言えるのではないでしょうか。どんなことでも、自分の“意志”を持って取り組むことは大きな成長に繋がります。くりーふも、「僕が行きたいんだ。」という意志を持てるよう、子どもたちと関わっていきたいと、改めて感じました。
どんな人も、3人目の職人のような子になって欲しいと願うことでしょう。そのためには、時には理由を考えることも大切でしょう。“なぜ”“どうして”と考えること。きっと3番目の職人は、自分でやる意味を見つけやりがいを感じたのかもしれません。でもその考えが前向きなのは、きっと育った環境もあるはずです。周りの大人から言われた言葉や考えがポジティブだからこそ、彼はどうしたらみんなが喜ぶのかを知っているのです。与えられたこと、そこに意味を見つけやりがいを感じる。子どもたちが大人になって仕事をするときに思い出してほしいと感じました。人生の先輩として…。

桃 謙太