2018.12「世の中、すべて提案されている!」

これは私が大学生の時、一緒に塾を立ち上げた親友が、JR東海に入社し駅ビルの広告担当として活躍していた頃に言っていた言葉です。

 

「風邪のひき始めにはこの薬がいいんだ!」

「あのお弁当美味しそう!」

なんて、テレビCMを見て衝動的に何かを購入した経験は皆あるのではないでしょうか。

一方、テレビ番組を見ていて、“薬に頼るのは良くない!”“コンビニ弁当は身体によくない”“と主張する番組はほとんどありません。なぜかと言うと、テレビのスポンサー(CM)に多くの製薬会社や、コンビニ会社、食品メーカーが入っているからです。でも、医者は薬に頼りすぎず、コンビニ弁当を作っている会社の社員はコンビニ弁当を食べないという事実もあるようです。また、この時期になるとインフルエンザの予防接種を打つ方がよいという提案が広まりますが、その割にはインフルエンザ感染者が毎年のように過去最多となることに疑問を感じます。もしかすると予防接種を打つほど免疫力が下がり、インフルエンザにかかり易くなり、製薬会社が儲かる仕組みになっているのではと疑ってしまうほどです。

先日の保護者会では、

「私は地方育ちで受験という言葉すら知らない小学生時代でしたが、周りの人が受験をすると聞いたので、我が子にも受験させた方が良いのかと思って・・・」

と、多くの方がおっしゃっていました。誰かが受験した方が良いと提案しているのでしょうか。私は受験に向いている子は10人に1人くらいと感覚的に思いますが、現実は2〜3割の子が都内では受験するようです。要するに10人中1、2人は受験に向いてないのに受験した方が良いと誰かに提案されているように感じます。これでは、風邪をひいてない子も薬を飲むように提案されているようなものです。

経済の力学で考えると、提案しているのは昔は子ども全体の1割が受験してくれたら満たされていた私立の学校や進学塾ではないかと考えてしまいます。30年前と比べると子どもの人数は半分になり、私立学校も進学塾も生き残りに必死です。特にブランド校ではなく中堅クラスの学校や塾はより必死に受験を提案するでしょう。

「高校受験がないので楽をさせてあげたい。」「部活に専念できるので。」

と中学受験を提案されている話もあるようですが、実際は、

「入学したら楽だと思っていましたが、毎日補習や宿題が多くて大変です。」

との声も保護者会でありました。当然、今度は大学合格実績を作るために必死です。

「世の中、すべて提案されている。」

極端な言い方かもしれませんが、過度な提案に流されず真価を見る力が必要です。

Culeafまつい