「なんど言ったらわかるの!早く食べなさい!」
「あ!食べるの、わすれていた・・・。わすれんぼう妖怪がついているのかな〜。えいえい!」
と、ごはんの中にいる妖怪を倒すようなそぶりをして、お箸を茶わんに突き刺しながら、妻のいらだちが伝わっていないのか、きょとんとした表情でまたご飯を食べ始める三男のつかさ。そして、また他のことに気が散って、
「また食べてない!」
と叱られ繰り返すこと3回以上は朝飯前ならぬ、朝飯中。そのうち、手は出ませんが妻の怒号が飛んできます。
人は自分の思い通りにならないといらだちを感じるものですが、子育てをしていると、「あと3分で出かけたいのに、子どもが靴下すら履いてくれない」など、思い通りにならないことは日常茶飯事だと思います。
千葉県野田市の児童が親の虐待を受けて亡くなった件で、しつけに関しての議論がメディアでも多くとりあげられています。役所や学校での対応や法改正などが話題にされていますが、そもそもなぜ、年間10万件もの虐待が起きてしまうのか。私は”思い通りにしたい気持ち“が強すぎる大人が多くなった事が要因の1つではないかと考えています。では、その大人である我々は、なぜ”思い通りにしたい気持ち“が強くなったのか。我々が子どもの頃、世の中がどんどん便利になり、「ハンバーグを食べたい!」と思ったら、車にのりレストランに行けました。雨が降っても、室内で遊ぶおもちゃがたくさんありました。知りたいことをすぐに調べる事ができるようになりました。テレビゲームは思い通りになるまで何度でもリセットして挑戦できました。そして思い通りになったらスッキリしました。
そこで、思い出したのが私も大好きだった人気ドラマ「下町ロケット」。台風が近づいてきて、稲が全滅するシーンでの百姓のおやじさんのセリフ。
「自然を相手にしていると、しかたない。」
どうしようもない大自然の脅威に“しかたない”と腹をくくったシーン。自然の中では、思い通りにならないことがたくさんあります。人間もそもそも自然を相手にしてきた動物。思い通りにならず、“しかたない”と諦めることも多くあったはずです。
我々が便利な時代から逆行することは難しいですし、すぐに何でも“しかたない”と諦めることもよくないですが、子どもたちには、できるだけ自然と接し“しかたない”と、思い通りにならない経験をさせてあげることも大切だと感じました。
子育てとは自然を相手にすることにも近いのではないでしょうか。たまには“しかたない”と嵐が去るのを待つことも、ストレスを溜めないコツかもしれません。
Culeafまつい
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