過去コラム

2018.5「大家族の宿命」

「とうやが家に帰ってきてから3時間。まだ宿題が終わらず。つかさにちょっかいを出したり、態度が悪かったり。今一度、親子で勉強に対する取り組みの約束決めたいです。」

妻から悲痛とも言えるLINEが、ふて腐れている次男の動画とともに、仕事中に送られてきた。仕事中だと分かっているのに私に送ってくるということは、妻のうっぷんが相当たまっている証拠。動画は5年生の長女が次男に気づかれないように撮っている。その姿の後方のキッチンでは、中学1年になった長男が、

「これ、うっめ〜!」

と、何かを食べながら叫んでいると思ったら、

「こら!だめだぞ、ふざけるな!」

と、三男を叱りはじめた。映像に姿はないが、1歳の次女の会話にもなっていない声もする。

そんな中、3年生の次男は、テーブルの上に学校の宿題の漢字ノートを広げたまま、椅子に膝を立てて横を向き、消しゴムをいじりながら一向に勉強する気配がない。妻だけでなく、きっと長男長女にも勉強を強要され、完全にやる気がなくなっているのがよくわかる。

松井家には、子どもたちそれぞれの部屋も学習机もないため、子どもたちはダイニングテーブルで勉強をします。それゆえに、周りが騒がしい状況で勉強しなければならないことがほとんど。妻の悲痛な悩みも分かりますが、この環境で勉強に集中しろというのも少し無理があると感じました。

別の日、私が2Fにいるとき、長男が1Fダイニングテーブルで勉強をはじめました。長男は塾に行かず、iPadで授業を受けられるコンテンツで勉強をするスタイルで中学を過ごすらしい。そこに長女が友達を連れて帰ってきました。騒がしい女子たちの声が、私のいる2Fまで聞こえてきます。

「こんな中、よく勉強ができるな。」

と、1Fを覗き込んだら、長男はイヤホンをして授業に集中していました。

「なるほど!」

と、思いましたが、イヤホンでは完全に外からの声を遮断できないのでしょう。翌日、長男から、

「ヘッドホンを買ってほしい。」

と、お願いされ、早速amazonで購入。長男からは高評価の学習アイテムになりました。

次男の学習対策は、これだけでは足らなそうですが、まずはヘッドホンをさせて、外からの音を遮断し、宿題に集中できないか試そうと思います。

それにしても、学習環境は大切ですね。これからも与えられた環境の中で、対策を考え続けます。

 

 

Culeafまつい

2018.4「親には言えない話」

「としまえんのチケットを買ってきて。」

春休み。5年生になる長女が、友だち同士でとしまえんに行くらしい。妻に言われるがままに子ども用チケット4枚を練馬駅前まで買いに行ってきた。

「チケット買ってきたよ。」

「ありがとう。」

「ところで、誰と行くの?」

「クラスの友だち。男の子2人と、女の子1人。」

「ふ〜ん。」

少しひっかかりを残しながらも、友だち同士の遠足のようなものと自分に言い聞かせ、細かいことを聞かない広い心をもった父親ぶりを演じる。数日後。

「大人用チケットを1枚追加購入してほしい。」

妻に言われ、わけを聞いたら、

「男の子のお母さんが、子どもだけで行かすのはだめだ、ということになり、中止しようとしたら、男の子がどうしても行きたいと言うので、私が付いて行くことになったの。」

妻が付いていく安心感と、男の子の執着心に対する不安が混ざり合う。

「どうしてもとしまえんに行きたいのか、どうしてもうちの娘と行きたいのか。」

変な詮索をしてしまう。しかし、ここでも寛大な父親を見せたいので、妻と娘にはあえて何も聞かない。

としまえんへの遠足を終えた数日後、食卓で子どもたちに何気なく聞いてみた。

「お前たちは・・・好きな人とかいるのか?」

「・・・いないよ」

娘が真顔で答える。妻も、

「この子たちは、いないよ。」

しかし、私は知っている。子どもは本当のことを言わないってことも・・・。

「みんなは好きな人がいても、親には言うの?」

「先生、言うわけないじゃん!親には好きな人がいても絶対に言わない。特にお父さんにはね!」

と、Culeafの子ども達から教えてもらっていたのだ。

恋愛はさておいても、親には言えないことが増えてくる高学年。友達関係、いじめ、勉強の悩み、せめてCuleafの先生としては、親に言えない話も聞かせてもらえる存在でいたい。

しかし、親も子どもに聞きにくくなってくることも増えてくるのだなとも感じる今日この頃です。

Culeafまつい

2017.4〜ここが居場所になるように〜

ご入学、ご進級、おめでとうございます。

本年度より教室長となります野田(のだ)康(こう)介(すけ)と申します。宜しくお願い致します。

私は教室で子どもたちに、言葉だけではなく体全体で「大好きだよ」という気持ちを一番伝えていきたいと思っています。

以前の教室にいた自信が持てない、1年生のY君。小学校の入学をきっかけにくりーふと同時にサッカーを習い始めました。

しかし、サッカーは「行きたくない」と言い、道具などを揃えたのに2回で辞めてしまいました。

学校では計算が苦手で、一人で考えること、文を読むことができないとお母様は言っていましたが、私から見るとできないのではなく、“やらない”という印象でした。

私はY君に態度や「○○ができるY君が先生は好きだな」という言葉で目一杯「好きだ」ということ、くりーふの教室が居場所なんだと伝え、自信を持って挑戦ができる様にと、伝えていきました。

何度も何度も繰り返し、心から好きだということを伝えていくことで少しずつY君も自信が持て、自分で挑戦が出来るようになってきました。

3週間に1回くらいのペースで「野田先生は僕のことを好きだと言ってくれます。なので、僕は野田先生のことが大好きです。嫌なことがあってもくりーふは絶対にやめたくないです。」など、嬉しい作文を書いてくれるようになりました。

この時にも「誰かを喜ばすことの出来る作文を書けるY君はかっこいいね。」など、プラスの声掛けをします。Y君のお母さんも私の声掛けを真似してお家でY君にたくさん言葉で好きだと伝えてくれたとのことです。

 

 

 

一人っ子で周りの子と比べてばかりであったが、Y君のことだけを見ることで成長を感じるようになったと話してくれました。子どもたちはお母さんのことが世界で一番大好です。それは当たり前過ぎることで、言葉にはなかなか出さなくなっていきます。また、子どもたちが成長をしていくと、お互いに恥ずかしくなり、余計に言えなくなります。しかし、どんなに成長をしても、「大好きだ」というお母様の言葉はとても嬉しいものです。

もちろん、直接伝えることが一番素敵なことなのですが、実は間接的に伝えることで、その何倍も成長することがあります。

子どもは特にお母さんの声には敏感になります。もし大好きなお母さんとお父さんの話の中で「最近○○がこんな風に頑張っているのよ」や「○○がすごいんだよ」などの話を嬉しそうにしている姿を見たものなら、子どもは喜びに満ちた顔をして、「よし!もっとお父さんとお母さんを笑顔にしてみせるぞ!」と、いつの間にか努力をしはじめます。それはお友達のお母さんとの会話や、お母さんと学校の先生との会話でも同じです。

言葉の力は絶大です。毎日を振り返って、しっかりと子どもに「大好きだ」と伝えられているでしょうか。

私もお母様方に負けないよう、これから教室の子どもたちのことを愛し、講師と一緒に「好きだ」と伝えていきたいと思います。

この教室が子どもたちにとって、とてもあたたかい場所で、居場所となれるよう、そして成長につなげていけるよう努めてまいります。

これからどうぞよろしくお願いいたします。

 

教室長 野田 康介