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2020.1「羽子板」

「サンタさん、ぼくの欲しいものをください。」

クリスマス1週間前に手紙を書く年長の三男つかさ。この手紙をみて、欲しいものを値段気にせず手紙に書く子がいる中、なんと欲のない子に育ったのだろうと、親としても感心しておりました。一方、

「お父さんにダメと言われても、もう一度チャレンジする!」

と今年も

「サンタさん、ぼくに任天堂スイッチをください」

と手紙に書く次男の顔は何とも言えない欲望に満ち溢れていました。

 

クリスマス4日前、弟達の心理をよくわかっている兄と姉が、

「つかさは本当はスイッチが欲しいでしょ〜?!」

と、突然尋問を始めました。

「え、え・・・・別に。」

と動揺を隠せない三男。

「手紙にスイッチと書くと、お父さんからサンタさんに反対されると思っているので、“欲しいもの”とだけ書いたのでしょ?!」

鋭い兄と姉のツッコミに、白状するしかなくなったつかさの顔は、次男と同じ欲望に満ち溢れた顔になっていました。

三男は毎年素直に

「任天堂スイッチが欲しい」

と書いてお父さんからサンタさんに

「それは持ってこないように」

と、お願いされていると思ったのでしょう。お父さんには分からないように、

「ぼくの欲しいもの」

とだけ手紙に書いてサンタさんに心を読み取ってもらおうとしたようです。狙いがバレてしまった三男は、

「青いラジコンをください」

と叶いやすそうなものに直前で手紙を変更。

 

クリスマスの日の朝。ドスドスと階段を降りていく音は、ドキドキした子動揺のようにも感じます。

大きい箱を見つけ

「俺、ラジコンだからこれだ!!」

と玄関から持ち運ぶ三男。

「名前が書いてあるよ」

と妻が伝えると、プレゼントを間違ったことに気づき、名前の書いてある包装紙に包まれたを持ってきました。今年はどんな反応を見せるかな、と心配しながらもその様子にカメラを向けます。

「あ、羽子板だ! ぼくの欲しかったもの!」

「羽が4つも付いている!!」

結局、何でも喜んでくれるんだなと、今年もひと安心なクリスマスでした。

次男に届いたのは、今年もWiiのソフト。チャレンジ失敗するも嬉しそうでした。

 

くりーふ まつい

2019.12「観てあげること」

「あなた、今度の日曜日のみれいの試合に車出しをしてくれない?」

「みれい、『お父さんが試合に引率してくれない』って、この前、寂しそうに言っていたよ。」

胸がギュッと痛む衝撃だった。

半年ほど前、娘に

「お父さんが来たら、色々言われそうでいやだ。」

と言われたので、あまり練習にも試合にも顔を出していなかった。思い返せば、

「中学に入ったらバスケ部に入るの?ダンスだけ続けるの?」

との質問にいつも

「わからない。」

と答えていた娘が、11月初旬に突然

「バスケ部に入るよ!」

と、突然言い出し頃がターニングポイントだったのかと、自分の鈍感さを反省した。

 

試合当日、キャプテンのお母さんから

「みれいちゃんが昨日『明日はお父さんが車を出してくれるんだ!』と何度か嬉しそうに話をしていましたよ。」

と伺った。6年にもなる娘がそんなことを言ってくれていたとはと、嬉しくもあり、もっと早く気づいてあげればよかったと、胸が熱く痛くなった。

 

「上手くなったね!」

試合後は、長男の時に言いすぎた注意もせず、試合後にこの言葉をかけたくらい。

家に帰ってからも

「ハイライトをつくって!」

と家族にも観てもらいたい娘。

 

子どもによってどこまで叱咤激励を受けたいかはそれぞれでしょうが、努力して結果が出てきたときは

観てもらいたいのは皆同じですね。

これからも、娘には(嫌われない為にも)口出しするのではなく、観てあげる応援を続けてあげます。

 

くりーふ まつい

2019.11「保身でしか動かない人」

しょうたは中学校に入り、自分の背の高さを活かそうとバスケ部に入部するも、顧問があまり部活に顔を出さず子ども達だけでの練習が多い為、部活を辞めてバスケをもっと教えてもらえるクラブチームに入ることにした。クラブチームは部活を辞めた子、部活に入らなかった子が集まり、地域の体育館を借りて活動している。

しょうたがクラブチームに入って半年が経ち、自分の学校の部活チームの大会があったので、元チームメイトの応援をしようと、会場に向かった。しょうたは会場にいても背が高いので一際目立つ。その時、遠くにいる部活の顧問と目があった。明らかにしょうたのことを睨んでいる様子。そのまましょうたの目の前まで来て、

「お前はバスケ部を辞めた人間だろ!勝手にここに来るんじゃない!!」

「あ、、、すみません。来てはだめだったのですね。知らなかったです。」

「だめに決まっているだろ!学校のルールだ!」

恫喝とも思える剣幕な様相で、中学生に詰め寄る教育者の様子に、同行していた保護者の方が、

「私が息子の試合を観にきてほしいと、誘ったのです・・・。すみません。」

と言っても、

「お母さんたちは関係ないんです。こいつが悪いんです!」

と、周りの誰もが恐怖を感じるような言動で、しょうたは詰められ萎縮し、会場を出ることになった。

精神的ショックを受けたしょうたを見て、同行していた保護者の方が教育委員会に通報し、教育委員会からしょうたの中学の校長に連絡が入り、校長としょうたのお母さんは面談することになりました。とことろが、

「うちの顧問はそんな言動をした覚えはない。と言っている。」

「では、他校の保護者の方ですが、証言者に来てもらっているので入室してもらってもいいでしょうか?」

「私は他校の人の話なんて聞く気がない!」

と校長は真実を探ろうとせず、顧問や学校の保身にまわったのです。

 

これは私がつくったノンフィクションのお話です。名前などは実名ではありませんが、学校ぐるみで揉め事を隠蔽しようとする傾向が見えた一幕です。今までも教育委員会に先生としてあるまじき言動が数々通報されているようですが、改善の兆しがないのをみると、教育委員会ですら

「校長、こんなクレームが来ていますので、気をつけてくださいよ。」

と伝えるくらいの機関でしかないかと疑うほどです。

 

「動画を撮った人がいたようです。」

後日、しょうたのお母さんが、そう校長に伝えると顧問や校長の態度が豹変。

「顧問も事実を認めたみたいです。今後同じことがないように厳しく指導します。」

SNSなどに掲載されると怖いと思ったのでしょうか。保身でしか動かない人になってはいけません。

くりーふ まつい

2019.4「母の言霊」

「お母さん、お友だちと遊んでくる」

てくてくと二人乗りの遊具に乗っている親子に近づく2歳の娘、香芽。

遠目で見ていると、何かを話しかけている。口の動きからみると

「いっしょに遊ぼー。」

と言っているようだ。

しかし、その親子からの反応がまったくない様子。娘が困った顔でこちらに目をくれたので、遊具に近づきそのお母さんに会釈をすると、

「この子、新しい子がだめで、人見知りするんです。」

その後も、ブランコに移動したその子に健気に近づくも、お母さんが我が子を守るように側にいて、相手にされない。まるでボディーガードのように。

 

その子が、人見知りになったのは確かかもしないが、そうさせたのはそんなお母さんの対応ではないかと考えてしまう。恐らく一人目の子で、我が子に嫌な思いをさせたくないから、無菌室に入れるように育てたのかもしれない。

しかし、そのお母さんを責めることはできません。私も長男が幼い時、外遊びした後は除菌シートやスプレーで除菌をし、足が遅く身体の小さい息子の困る顔を見たくないので、ボディーガードの様に見守っていました。それだけ一人目の子は、心配になるのが親として当然でもあります。

「この子は新しい子がだめな子。人見知りなの」

と耳に入る距離で言われ続けられた子は、将来もそれを引きずってしまうのではないでしょうか。それだけ母の言葉は言霊となり、子どもの中に生き続けます。

私は母に「やればできる!」と言われ続けました。普段は部活しかしない子でしたが、高校受験、大学受験で頑張れたのはその言葉があったからだと思います。

親は我が子が出来ていないことに目がいきますが、子どもには可能性がたくさんあります。

「やればできる!」

これは、“今は出来ないけど、頑張れば出来るようになるよ”と上向きな良い言霊。

母の言葉は、言霊です。残してあげたい言葉を根気よく伝えていきましょう。

Culeafまつい

2019.3「しかたない」

「なんど言ったらわかるの!早く食べなさい!」

「あ!食べるの、わすれていた・・・。わすれんぼう妖怪がついているのかな〜。えいえい!」

と、ごはんの中にいる妖怪を倒すようなそぶりをして、お箸を茶わんに突き刺しながら、妻のいらだちが伝わっていないのか、きょとんとした表情でまたご飯を食べ始める三男のつかさ。そして、また他のことに気が散って、

「また食べてない!」

と叱られ繰り返すこと3回以上は朝飯前ならぬ、朝飯中。そのうち、手は出ませんが妻の怒号が飛んできます。

人は自分の思い通りにならないといらだちを感じるものですが、子育てをしていると、「あと3分で出かけたいのに、子どもが靴下すら履いてくれない」など、思い通りにならないことは日常茶飯事だと思います。

 

千葉県野田市の児童が親の虐待を受けて亡くなった件で、しつけに関しての議論がメディアでも多くとりあげられています。役所や学校での対応や法改正などが話題にされていますが、そもそもなぜ、年間10万件もの虐待が起きてしまうのか。私は”思い通りにしたい気持ち“が強すぎる大人が多くなった事が要因の1つではないかと考えています。では、その大人である我々は、なぜ”思い通りにしたい気持ち“が強くなったのか。我々が子どもの頃、世の中がどんどん便利になり、「ハンバーグを食べたい!」と思ったら、車にのりレストランに行けました。雨が降っても、室内で遊ぶおもちゃがたくさんありました。知りたいことをすぐに調べる事ができるようになりました。テレビゲームは思い通りになるまで何度でもリセットして挑戦できました。そして思い通りになったらスッキリしました。

そこで、思い出したのが私も大好きだった人気ドラマ「下町ロケット」。台風が近づいてきて、稲が全滅するシーンでの百姓のおやじさんのセリフ。

「自然を相手にしていると、しかたない。」

どうしようもない大自然の脅威に“しかたない”と腹をくくったシーン。自然の中では、思い通りにならないことがたくさんあります。人間もそもそも自然を相手にしてきた動物。思い通りにならず、“しかたない”と諦めることも多くあったはずです。

我々が便利な時代から逆行することは難しいですし、すぐに何でも“しかたない”と諦めることもよくないですが、子どもたちには、できるだけ自然と接し“しかたない”と、思い通りにならない経験をさせてあげることも大切だと感じました。

子育てとは自然を相手にすることにも近いのではないでしょうか。たまには“しかたない”と嵐が去るのを待つことも、ストレスを溜めないコツかもしれません。

 

Culeafまつい

2019.2「親の仕事」

中一の長男がバスケ部女子の大会をチームメイトと観戦に行くという。女子には興味がないと普段から言う長男にしては珍しい。

「俺はべつに行きたいとは思わないんだけど、友達が行こう!って言うので・・」

試合会場は我が家から徒歩20分くらいの中学校。

当日の朝、スマホを持っていない長男は、妻のスマホ経由で、

「どうやって会場までいく?」

とLINEをうつ。

「どこか近くのお店に自転車を置いて、そこから歩いていこう。」

と返信があった。部活のルールでは会場まで自転車で行くのは禁止されている。ゆえに、自転車で途中までいくことも当然だめな訳です。

そのやりとりを朝食を食べながら見ていた私は、

「部活で禁止されていることをバレなければいいと思ってやるのはよくない。しかも、そのお店で買い物もしないのであればお店にも不快なことだ。」

と長男に注意。納得した長男は友達に電話をして

「自転車でいくのはそもそもだめだし、バレたら部活停止になるかもしれない。お店にも悪いし・・・」

「・・・・いや、だから、だめだって・・・、お父さんもそう言ってるし・・・」

どうやら、それでも自転車で行くことを押し通そうとしている友達が受話器の向こうにいるようだったので、私が電話を代わった。懇々とその友達にも説明し、

「お母さんに代わって。」

とその友達のお母さんにもこの行動を見て見ぬ振りをしてはいけないことを説明。おせっかいな友達の父親と思われるかもしれないが、子どもの間違った行動を見逃す親でいてほしくなかった。

二人はそれぞれ徒歩で会場まで行き、一件落着。その後、そのお母さんからも「うちの主人も怒っていたし、注意してもらいありがとうございました。」と報告があった。

私も学生のころ、この程度の悪行は「ばれなければいいや」とやってしまったことは正直ある。また、親としても歩くのが大変だから何かいい方法はないかと子どのもの楽を考えてしまうこともある。“自分がそうだったらから子どもには注意できない“という気持ちも生まれる。しかし、だめな行動は、自分がしたことがあるかないかではなく、だめだと見過ごさない姿勢が親の仕事だと思う。

親の仕事は外で働くことではない。子どもを育てるからには親としての仕事もしっかりしなければいけない。

「最近、読み聞かせをしてなかったね。」

と図書館で絵本を借りて、下の子たちに絵本の読み聞かせをした。これも親の仕事。

Culeafまつい

2019.1「スマッシュブラザーズSP」

「みんな3年生はスイッチらしいよ・・・」

妻がママ友から届くLINEを読みながら、少し心苦しそうにつぶやいた。

「おまえたちがスイッチを頼んだとしても、お父さんからキャンセルしておくので。」

次男と三男は、私の言葉に少し困惑しながらも

「そんなことはお父さんにはできないはず・・・。」

と言わんばかりに、望みを捨てるどころか、野望に満ちた笑みを浮かべていた。

イブの朝、私が目を覚ますと寝室の壁に何かが貼られてあった。もちろん、遠目ながらあれだと気付いた。

「去年はかっこいいベイブレードをプレゼントしてくれて、ありがとうございました。今年はニンテンドウスイッチのスマッシュブラザーズSP(スペシャル)をください。」

と次男が書いた手紙が。そしてその横には、

「今年はニンテンドウスイッチ本体をください。」

と次男が三男の代筆で書いたであろう、合わせ技レターが貼られてあった。それを読んだとき、私も子どものころ手紙を書き、その通りのものが届くことがどれほど嬉しかったかを思い出し、少し罪悪感が混ざった切ない気持ちにも襲われた。25日の朝、5年生の長女が7時前に目を覚まし、次男と三男を起こし、階段を駆け下りていく。2歳の次女もこの日が何かもわかっていないが、目をこすりながら後に続いていく。玄関で見つけた包装紙に包まれたものを長女が仕分け。

「お兄ちゃんのは、やっぱりない・・・」

何も望まない長男は、そんな騒動も気にもせず布団の中だが、妹、弟たちは少し申し訳ない表情を浮かべたものも、すぐに笑みを取り戻し、自分のプレゼントの開封作業に入った。長女は望んだ通りのダンス用Tシャツ、次女はキティちゃんのママごとセットに大喜び。さて、男たちが手にしたものは明らかに想定のものより軽い。私は二人が泣くかもしれないと、悪趣味かもしれないが決定的瞬間を撮ろうとスマホを手にした。

「あ、これは・・・・」

と、次男が言いながら包装紙から顔を出したのは、立体迷路。次男もレベルの違う立体迷路。さあ、泣くか?!と思った瞬間、

「めっちゃ、面白いやつやん!」

と大喜び。ある意味、期待外れなリアクションだったが、心底『よかった・・・』と胸をなでおろした。

年が明け、11人の従兄弟同士で正月を祝った。3年生の従兄弟がスマッシュブラザーズSPをもらったので家でゲームをやろうと言ったが、私から公園で遊ぶことを勧めた。3人のお父さんvs男の子7人の「どろけい」。本気になって中学生から幼稚園児までが公園を逃げ回った。テレビの中でなく、リアルなスマッシュブラザーズ。

北風が吹く中、体から湯気が立つほど心身ともにあたたかくなりました。これぞスペシャル!

Culeafまつい

2018.12「世の中、すべて提案されている!」

これは私が大学生の時、一緒に塾を立ち上げた親友が、JR東海に入社し駅ビルの広告担当として活躍していた頃に言っていた言葉です。

 

「風邪のひき始めにはこの薬がいいんだ!」

「あのお弁当美味しそう!」

なんて、テレビCMを見て衝動的に何かを購入した経験は皆あるのではないでしょうか。

一方、テレビ番組を見ていて、“薬に頼るのは良くない!”“コンビニ弁当は身体によくない”“と主張する番組はほとんどありません。なぜかと言うと、テレビのスポンサー(CM)に多くの製薬会社や、コンビニ会社、食品メーカーが入っているからです。でも、医者は薬に頼りすぎず、コンビニ弁当を作っている会社の社員はコンビニ弁当を食べないという事実もあるようです。また、この時期になるとインフルエンザの予防接種を打つ方がよいという提案が広まりますが、その割にはインフルエンザ感染者が毎年のように過去最多となることに疑問を感じます。もしかすると予防接種を打つほど免疫力が下がり、インフルエンザにかかり易くなり、製薬会社が儲かる仕組みになっているのではと疑ってしまうほどです。

先日の保護者会では、

「私は地方育ちで受験という言葉すら知らない小学生時代でしたが、周りの人が受験をすると聞いたので、我が子にも受験させた方が良いのかと思って・・・」

と、多くの方がおっしゃっていました。誰かが受験した方が良いと提案しているのでしょうか。私は受験に向いている子は10人に1人くらいと感覚的に思いますが、現実は2〜3割の子が都内では受験するようです。要するに10人中1、2人は受験に向いてないのに受験した方が良いと誰かに提案されているように感じます。これでは、風邪をひいてない子も薬を飲むように提案されているようなものです。

経済の力学で考えると、提案しているのは昔は子ども全体の1割が受験してくれたら満たされていた私立の学校や進学塾ではないかと考えてしまいます。30年前と比べると子どもの人数は半分になり、私立学校も進学塾も生き残りに必死です。特にブランド校ではなく中堅クラスの学校や塾はより必死に受験を提案するでしょう。

「高校受験がないので楽をさせてあげたい。」「部活に専念できるので。」

と中学受験を提案されている話もあるようですが、実際は、

「入学したら楽だと思っていましたが、毎日補習や宿題が多くて大変です。」

との声も保護者会でありました。当然、今度は大学合格実績を作るために必死です。

「世の中、すべて提案されている。」

極端な言い方かもしれませんが、過度な提案に流されず真価を見る力が必要です。

Culeafまつい

保護中: 2018.11「渋ハロ?」

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2018.10「1点の重み」

「じゅう!きゅう!はち、なな、ろく、」

「ピーーーー!」

バスケ部の区民大会準決勝。2点リードの谷原中学。ボールを奪った谷原中キャプテンがものすごい速さでドリブルをし、残り5秒で決勝点を決めようとするが、相手チームの必死のディフェンスにより得点は阻止されます。しかし、ファールをもらいフリースロー。2本決めれば勝利はほぼ確定。だが、この緊迫した中、1投目を落としてしまう。2投目は決まり3点差。相手チームのタイムアウトの後、3ポイントシュートを警戒し、残り5秒でゲーム再開。相手チームのエースがボールを持つが、執拗なディフェンスによりシュートを打たせない。

「にー、いち!」

苦し紛れにパスを出すしかない相手のエース。谷原中の勝利かと思った時、パスを受け取った選手が半ば投げる様に投じたロングシュート。

「ガ、コン!!」

ボールがボードにあたりリングに吸い込まれた。その後、延長戦となったが退場者が多く出ていた谷原中は敗退。選手達は1点の重みを感じ、涙を流した。

話は変わりますが、首都圏の中学受験比率は22%。約5人に1人が受験する。世界一の教育といわれるオランダも中学受験が盛んなようだが、その内容が日本とはまったく違う。オランダは期末テストなど各学年での成績が蓄積されており、その蓄積された成績表をもとに進学する中学を決めるようだ。要するに日本の様に一度のテストの点によって進学先が決まるのではなく、小学校での経歴がみられるわけです。日本は一度しかない本番のテストの1点の重みが大きく、6年生の時には特に過度な負担がかかります。あるアンケートによると就寝時間「22時〜23時」が49%、「23時〜0時」が32%と、最も身体が成長するときに大切な睡眠時間を削らざるをえないのです。当然、脳の発育にもよくないのです。2020年学習指導要領が変わり、よりよい授業内容になりそうですが、そもそもの受験システムを変える方が日本の教育において優先なのではないでしょうか。スポーツにおいても日本の受験においても1点の重みは大きい。しかし、受験の方は模試がよくても、その日のアクシデントで報われなかった話もよく聞く。スポーツにおいても大会などの成績も大切だが、その選手の能力そのものをみてスカウトが来る。また、スポーツは勝っても負けても向上心が芽生える事が多いが、受験を終えた中学生が「もう勉強も受験もしたくない」と言っている話もよく聞く。

我が家の長男も谷原中学のバスケ部に入り毎日練習に励みながら、朝や休日に勉強も少しはしている様です。先日の英単語のテスト。99点だったと1点の重みを感じたようですが、間違った単語がまさかの「basketball」。「basketdall」と、「b」を「d」を間違えるのだから、バスケも勉強もまだまだ足りてないようです。

Culeafまつい